今年も一年間、サカイのイチオシにお付き合いくださり本当にありがとうございました。
そして皆さん本当にお疲れさまでした。
今年最後のイチオシは特別バージョンです。
弊社の若手スタッフたちが昔からの知恵に学び、彼らの感性を織り込んで『 心に響く服 』を届けてくれました。
大晦日という特別な日に改めて日本の良さや人との繋がりの大切さなど、いろんなことを振り返りながらこの製品のストーリーを読んで頂ければと思います。
私たち「co:do(こどう)」について
まずは「co:do」がどのようなブランドなのかをご説明いたします。
私たちの会社「フレックスジャパン株式会社」は長野県SDGs推進企業として第一期より認定をいただき、今年2020年に創業80周年を迎えました。
アパレルビジネスそして私たちの生活を今後も持続可能なものにするため、この度SDGs達成に向けた新たなる取り組みを若手社員の有志が担い、
【3R(reduce/reuse/recycle)の推進】【環境配慮】【廃棄物】をキーワードに、日本伝統のモノづくりを活かしたエシカルな製品開発を行い、サスティナブルとファッション性の両立を狙うブランド「co:do」を運営しております。
歴史ある工場を有するアパレルメーカーとして、温故知新の考え方から「故きを温ねて新しきを纏う(ふるきをたずねて、あたらしきをまとう)」を自分たちのモットーとしました。
素材の生分解性や再生原料への着目、また日本伝統の技術や手仕事の再発見。
日本人である私たちがサスティナブルを語る上で、日本国内で昔から受け継がれてきた再生・再利用における技術や考え方に倣うことが重要であると考え、日本式の持続可能な製品作りを目指していきます。
またジェンダーレスなアイテム展開により、年齢・性別に捉われない普遍的なデザインを提案します。
この度、「co:do」の第一弾アイテムとして、古くより日本国内において防寒着として着用されてきた「半纏」を現代的に解釈し、「Japanese short coat」としてリリースいたします。
半纏でありJapanese short coatでもある、古くもあり新しくもあるアウターを、この度フレックスジャパンの本社工場で生産致しました。
まず何が新しいのか、という点ですが。
屋内でこたつに入りながら、ミカンに手を伸ばして、年末年始の特番をテレビで見る。
そんなオケーションのアイテムというのが、一般的なイメージだと思います。
従来の「半纏」では外に出るという状況は、それこそ軒先に郵便物を確認に行くかゴミを出しに行くときといったくらいのものでしょうか。
暖を取るという大きなメリットのために、野暮ったさを感じてしまうという大きなデメリットを持ってしまった「半纏」を、素材や型から見直して「よそ行き」になるアウターとして再構築したのが、このアイテムなのです。
半纏(Japanese short coat)
ニシザワスタイリング
小柄な女性が纏うと、ふわっと肩に乗る柔らかい印象のシルエットに。
ノーカラーコートの解釈から首元にアクセントが出るタートルネックを合わせることで、古き良きデザインの半纏を旬な着こなしにアップデートしています。
ハイウエストのロールアップジーンズにニットをインすることで、トップスのしっかりとした雰囲気を軽くさせるバランス感も◎
イヤリングとベルトのバックルを、シルバー素材でリンクさせることで統一感を持っているのも良いポイントになっています。
個人的に足元にはサイドジップのブーツを合わせて品良く合わせるコーディネートのイメージでしたが、オリーブのアウトドアテイストのスニーカーを持ってくることでニットとのアースカラーコンビネーションがとても良く映えています。
サクライスタイリング
シンプルなデザインの半纏を基軸に、デザイン性と発色が強い他アイテムをまとめるコーディネート。
牧歌的な雰囲気のノルディック柄は北欧の伝統的なパターンですが、日本の古来から伝わる半纏のシルエットとのギャップ感を楽しめるマッチングがとても気に入ってます。
オーバーサイズのニットにワイドパンツのようなアイテムは、コートなど重衣料との着合わせにおいて、Iラインのスタイリングになり、ややもすれば野暮ったく重たい印象になりがちです。
太畝のコーデュロイパンツをロールアップして、スリッポンとの間に差し色として、ニットの赤から拾った靴下をチョイスすることで、トータルのゆるっとした着こなしを足元から引き締めています。
【サクライポイント】
着心地や使い勝手は、まさにニシザワポイントの示す通り。
外ポケットの大きさもさることながら、内ポケットも長財布が楽々収まるサイズ感。
「手ぶらコート」というあだ名も付けることができるくらいの、バッグいらずの大容量アウターです。
また全ての人が平等に着られるようにという意図で、ポケットなどの機能的な部分は左右対称のディテールのデザインに仕上げました。
長野県の伝統的工芸品である松代焼の窯元、松井窯松代陶苑様に別注で製作を依頼した「陶器ボタン」を内ポケットの留めボタンに採用しており、江戸時代から庶民の間で着用されてきた半纏の、現代版「粋」なポイントとして楽しむことができます。
半纏の生産背景について
先程のスタイリングで触れたデザインやパターンは、縫製工場としての強みを存分に活かした内容となっていますが、co:doは採用する素材や副資材にもこだわりを注いでいます。
【表地】 尾州ウール"毛七" (仕分け:サンリード、反毛:玉腰整毛、織布:令和毛織)
エシカルやサスティナブルという概念が広まる以前から、日本を代表する毛織物産地・"尾州"には羊毛再生の文化がありました。
不要になってしまった衣料品、縫製工場の裁断時に生じるハギレや余り布、糸を撚ったり生地を織ったりするときに出てしまう繊維くずなどを原料に、専用の反毛機械を用いてワタ状にし、再び新たな繊維として蘇らせます。
"毛七"の名の由来はウール70%使用の比率から来ています。(つなぎとしてポリエステル15%、アクリル10%、ナイロン5%使用)
繊維が短くなってしまう再生羊毛において、強度と風合いの両立を果たすための最適解がこの数値なのです。
尾州ウールといえば高い品質と豊かな風合いが世界中から評価されていますが、その原動力となっているのは人機一体となってその生産を司る職人と旧式の織機であることは疑う余地もありません。
シャトル織機やレピア織機で織られた生地は、生産性を重視した最新の高速織機に対して、ふっくらと優しくヴィンテージ生地のように着込む毎にその風合いを増していきます。
今回「半纏(Japanese short coat)」に使用するのは、"ダブルフェイスのメルトン生地"。
二枚のメルトン生地を接合糸により数ミリ間隔で密に二重織にすることで、しっかりとした厚みとコシを生み出し、防寒性と遮風性を飛躍的に向上させた、目付800g/mのボリューム満点の生地です。
旧式織機によって手間暇かけて織り上げられた高密度の生地を、両面起毛により多くの空気を閉じ込めることで、しっかりとした厚みと弾力性に富んだ柔らかさという着心地のみならず、冬の日常の中で格別の保温性を担保します。
【陶器ボタン】 松代焼 (松井窯窯元 松代陶苑)
江戸時代後期より、長野県の松代地域を中心に盛んに生産されていた"松代焼"。
安価な大量生産品であった他窯に圧倒される形で昭和初期に地域全体が廃業していたものの、1972年に当時の製法の調査研究の末復興し、2014年に晴れて長野県指定の伝統的工芸品として認定を受けました。
陶土には鉄分の多い地元の粘土等を使用し、灰、白土、銅など自然由来の成分のみを調合した釉薬を二重掛けすることで、素朴な造形・風合いと独特な"青流し"と呼ばれる青緑色の光沢を出しています。
"松代陶苑"は、復興当初より松代焼の製作販売を行ってきた老舗窯元です。
私たちの地域活性化の取り組みとして地元の名産をアピールしたいという想いに共感いただき、「半纏(Japanese short coat)」に用いる陶器ボタンの製作を完全別注にて依頼いたしました。
全てが天然素材の原料を職人による手仕事で製作されているため、その出来上がりは形と色合いなど一点一点表情が異なります。
松代焼の味と魅力が詰まった、唯一無二の陶器ボタンが完成しました。
【梱包資材】 内山紙 (阿部製紙)
http://www.uchiyama-gami.jp/index.html
江戸時代初期の1661年、美濃で製法を身に付けた職人が信州で紙を漉いたことから始まったとされる"内山紙"。
私たちco:doの商品は、経済産業大臣指定の伝統的工芸品である内山紙の和紙に包んでお届けします。
原料は全て楮を用いており、丈夫で長持ちする特性を持ちながら通気性、通光性、保湿力に優れ、雪の上に晒す"雪晒し"という工程を経ることで得られる自然な白さは多くの人々を魅了しています。
親子2代の伝統工芸士を擁する"阿部製紙"の協力のもと、梱包資材に内山紙を採用することができました。
「決して安いものではないが、使ってもらわなければ意味がない」という貴重なお言葉に、再利用できる梱包資材というアイデアが浮かびました。
無事お客様のもとに届き、その役目を終えた後にもランプシェードやランチョンマットとして長くお楽しみいただけます。
またブランドの顔とも言えるブランドタグも同工房にて依頼し、こちらもまた栞として再利用いただけるデザインに仕上げています。
【裏地】 キュプラ生地”ベンベルグ” (旭化成)
https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/
"旭化成株式会社"がドイツ・ベンベルグ社よりその技術を導入以来、約一世紀を経た今現在、世界唯一の生産企業として上質を求める顧客へ向けて国内外を問わず供給され続けているキュプラ生地”ベンベルグ”です。
その原料は綿花を採取した後の種子の表面に残る産毛のような短い繊維です。
本来であれば糸にすることができずゴミとして扱われてしまうその素材を、高い割合で含有するセルロースに着目し、化学の力により再生繊維として活用しています。
天然由来故の生分解性により、焼却や廃棄による有害物質の発生を抑えることができるアースコンシャスな素材として注目を集めています。
「半纏(Japanese short coat)」の裏地として用いることで、半袖のTシャツの上からでもストレスフリーで羽織ることができるので、長いシーズンの間ご着用いただくことができます。
note (https://note.com/_codo_)にて、PR担当ニシザワが珍道中な内容も含めて、面白おかしくブランドのこと生産背景のことをお伝えさせていただいております。
宜しければ是非、こちらもお楽しみください。
半纏の販売について
正式販売は2021年9月の予定ですが、2020年12月21日~2021年1月15日の間に、CF信州(https://cf-shinshu.jp/project/detail/737)にて先行販売という形でクラウドファンディングを開催しております。
販売サイト:CF信州 https://cf-shinshu.jp/
販売期間:12月21日(月)~1月15日(金)
リターン:半纏1着 co:do第一弾アイテム
半纏(2021年9月正式発売予定)の先行購入権
・尾州ウール"毛七"
・松代焼"陶器釦"
・内山紙"梱包用紙"と"栞(商品タグ)"
1口金額:30,000円
※限定50着です。上限に達し次第、販売期間に関わらずクラウドファンディング終了となります。
※9月の正式発売前に購入できるチャンスは、このクラウドファンディングのみです。
※今現在販売している形態はクラウドファンディングのみです。
クラウドファンディング開催期間終了後、一部直営店ならびにECサイト(https://www.c-o-d-o.jp)にて展開する予定です。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
サクライ
【ニシザワポイント】
半纏らしい腕回りや身幅がたっぷりとしたデザインなので、厚みのあるニットに合わせてもゴワつかずに、ゆとりのあるシルエットで楽しめます。
表地の毛七生地は、黒ほどカラくもならず、淡いグレーほどアマくもならない絶妙なバランスのカラーリングが、全体の雰囲気を綺麗に仕上げてくれます。
裏地のベンベルグ生地は袖通りが良く、着心地抜群なポイントに加え、モノトーンコーデで合わせたときにも、ちらっと見える色味がアクセントになります。
見た目と裏腹に、ふわっとした着心地で重さを感じないところも驚きでした。
外ポケットがとても大きい作りなので、特別寒い日にはすっぽりと手が収まります。
今まで自分が触れてきたアウターとは被らない特別な一着ができたなぁと我ながら思いました。